茨城県・福島県いわき市でクリニックの開業を考えている先生へ。開業コンサルと建設会社の開業支援の違いを整理したうえで、開業した後の運営や薬局との連携、将来の事業承継まで見すえて相談先を選ぶポイントをお伝えします。
開業の準備は、建物が完成して開院したところで終わりではありません。むしろ、そこから院長として医院を続けていく時間のほうがずっと長くなります。
益三建設は昭和22年に日立市で創業し、茨城県と福島県いわき市を中心に、医院・クリニックから調剤薬局まで、医療に関わる建物を手がけてきました。
この記事の結論
- 開業準備の全体を管理するのが開業コンサル、土地と建物から準備を進めるのが建設会社の開業支援です。どちらも開業後まで関わるとは限りません。
- 日本医師会の調査では、開業後にスタッフの採用(65.1%)や機器等のメンテナンス(48.5%)が負担になったと答えた院長が多くいました。
- 益三建設が厚生局の公開データから数えたところ、茨城県で直近3年に新規開業した診療所は71件で、約3分の1がつくばエクスプレス沿線に集中。日立市は4件、いわき市は6件でした。
- 新しい医院が少なく、自分の建物で開業する先生が多い地域では、薬局の配置や建物の維持管理、将来の承継まで相談できる相手を選ぶことが、長く続く医院づくりにつながります。
開業コンサルとは?開業支援の相談先をおさらい
開業コンサル(開業コンサルタント)とは、医師が開業するまでの準備を、本人に代わって計画し、関係者と調整する専門家です。事業計画、開業地の選定、資金調達、手続き、採用、広告などを、開業日に向けて管理します。
開業支援を行うのはコンサルだけではありません。会計事務所(税理士)、医療機器ディーラー、調剤薬局、金融機関、建設会社など、それぞれの立場から開業を手伝う相談先があります。
| 相談先 | 開業前に頼れること | 開業後の関わり |
|---|---|---|
| 開業コンサル | 準備の全体管理、手続き | 顧問契約などで続く場合もある |
| 税理士 | 資金計画、税務 | 会計・税務で継続的に関わる |
| 調剤薬局・医療機器ディーラー | 薬局の出店、機器選び | 処方の受け入れ、機器の保守 |
| 建設会社 | 土地探し、診療圏調査、設計・施工 | 建物の点検・修繕、増改築、建て替え |
開業後に院長が負担に感じていること
開業医1,984人に聞いた日本医師会の調査(2009年)を見ると、開業後に負担になった管理業務の上位には、スタッフの採用(65.1%)、機器等のメンテナンス(48.5%)、スタッフの教育・育成(48.3%)が並びます。経理・会計(46.8%)や官公庁等への届出(42.9%)も4割を超えました。
建物や設備の手入れは、毎日の診療を支える大切な仕事です。開業前に選ぶ相談先が、開業後も相談に乗ってくれるかどうかは、こうした負担の軽さにも関わってきます。(関連コラム:医師が独立を決断する5つの理由と開業を阻む3つの壁)
出典:日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」2009年9月
【独自集計】茨城の新規開業71件、県南に集中し県北・いわきは少数
茨城県は、医療施設で働く医師が人口10万人あたり198.1人で、47都道府県中46位です(厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」)。では、新しいクリニックはどこに開業しているのでしょうか。茨城県は関東信越厚生局、いわき市は東北厚生局が、保険診療を行う医療機関の一覧をそれぞれ公表しています。益三建設では両方の一覧(いずれも2026年10月1日現在)から、2023年10月から2026年9月の間に新たに開業して指定を受けた診療所を集計しました。
| 地域 | 新規開業 | うち住所にビル名・階数などの記載あり |
|---|---|---|
| つくば市・守谷市・つくばみらい市 | 25件 | 8件 |
| 水戸市 | 10件 | 1件 |
| 日立市 | 4件 | 2件 |
| そのほかの茨城県内 | 32件 | 6件 |
| 茨城県 合計 | 71件 | 17件(24%) |
| (参考)福島県いわき市 | 6件 | 0件 |
茨城県の新規開業の約3分の1(25件)は、つくばエクスプレス沿線の3市に集まっていました。一方、益三建設の地元・日立市は3年間で4件、いわき市は6件です。診療科(一覧で最初に書かれた科目)では内科が38件と半分を超えました。
また、茨城県では71件のうち54件、いわき市では6件すべての住所にビル名や階数の記載がなく、自分の建物で開業する先生が多いと考えられます(住所の表記をもとにした推測です)。自分の建物なら、空調や屋根の修繕、将来の増築や建て替えも院長の判断になります。新しく開業する医院が少ない地域ほど、医院の建物を知る業者が近くにいるかを、開業前に確かめておきたいところです。
※集計の対象は、2026年10月1日時点の一覧に載っている診療所(休止中を含む)です。期間中に閉じた診療所や、移転で登録が変わった診療所は入っていません。建物の形は住所の表記から推し量ったもので、実際に確認したものではありません。
出典:関東信越厚生局「保険医療機関・保険薬局の指定等一覧(コード内容別医療機関一覧表 医科 茨城県)」令和8年10月1日現在 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/shitei.html 、東北厚生局「コード内容別医療機関一覧表(医科)」令和8年10月1日現在 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/itiran.html をもとに益三建設が集計
開業後まで見すえた相談先選びのポイント
ポイント1:薬局の配置を最初から計画に入れる
院外処方にする場合、近くに調剤薬局が入れるかどうかは、患者さんの通いやすさにも、クリニックの仕事の量にも関わります。益三建設は、アイセイ薬局・ベル薬局・クオール薬局など調剤薬局の建築も手がけてきました。土地探しの段階から、薬局の出店場所と患者さんの動線をあわせて検討することをおすすめします。
ポイント2:建物の維持管理を相談できる
エアコンや給排水などの設備は、年月とともに点検や交換が必要になります。益三建設では緊急時の駆けつけサービスや定期点検、メンテナンスのご案内を行い、専門のメンテナンススタッフが対応しています。(関連コラム:クリニック設計で押さえたい6つのポイント)
ポイント3:将来の承継や建て替えまで話せる
後継ぎがいない、診療を続けながら建て替えたい、といった相談は、開業から年月がたってから出てきます。益三建設では、後継者不在やM&A(事業の譲渡)に伴う医院の買取や取次、敷地内のクリニックを残したままの建て替えにも対応しています。
ポイント4:資金計画と建物の計画を一つにする
建物にかける費用は、開業資金の大きな部分を占めます。事業計画書の作成と銀行融資のフォローを、建物の計画と同じ窓口で進めれば、予算の見通しが立てやすくなります。(関連コラム:クリニック開業に必要な資金)(関連コラム:クリニック開業の失敗リスクと回避方法)
開業までの流れ
益三建設の「開業までの流れ」は、開業コンセプトの策定(約1か月)→診療圏調査・事業計画作成(約1〜2か月)→開業地の確定・用地契約(約2〜3か月)→企画・設計・建物契約・着工(約8か月)→開業準備(約1〜2か月)→建物引き渡し・開業です。合わせて約13〜16か月を目安にしています。
益三建設の施工実績から
調剤薬局と医療施設の両方を知る強み
益三建設は、医院・クリニックのほか、調剤薬局の建築にも携わってきました。クリニックと薬局の両方の使われ方を知っているからこそ、患者さんが迷わず移動できる配置をご提案できます。(益三建設の施工事例)
さまざまな診療科の施工事例
これまでに施工した医療施設には、整形外科や歯科医院のほか、提携先の設計事務所が設計した内科病院や美容クリニックもあります。診療科が違えば、必要な部屋の数や機器の置き場所、スタッフと患者さんの動線も変わります。
開業してから10年、20年で起こること
開業から年月がたつと、建物や設備の手入れが必要になります。空調や給湯器などの設備は交換の時期を迎え、外壁や屋根も点検や補修が必要になります。診療内容が変われば、部屋の使い方を変える改修が必要になることもあります。
さらに先には、医院を誰に引き継ぐか、建て替えるかといった判断も待っています。開業前の相談先を選ぶときに、こうした将来の相談にも乗ってもらえるかを確かめておくと、長い目で見て安心です。
開業前の打ち合わせで聞いておきたいこと
- 建物の定期点検は、いつ、誰が来てくれるのか
- 空調や給排水が故障したとき、どこに連絡すればよく、どのくらいで来てもらえるのか
- 将来、部屋を増やしたり診療科を加えたりするときのために、増築や改修の余地を残せるか
- 院外処方の薬局との位置関係や、駐車場を共用するかどうかをどう決めるか
こうした質問への答え方から、その会社が開業後もどれだけ関わってくれるのかが見えてきます。
茨城・いわきで開業するときのポイント
茨城県といわき市は、市街地から郊外まで住まいが広く散らばり、通院にも車を使う方が多い地域です。停めやすい駐車場をどれだけ確保できるか、生活道路から入りやすいかも、患者さんの通いやすさを左右します。不動産業も営む益三建設では、土地の情報とあわせて、周りに住む人の数や年齢、近くの医療機関の場所をお調べしています。
医師の少ない地域では、開業すれば頼りにされる一方で、国も、医師の少ない地域での診療所の開業を後押しする施策を示しています。(関連コラム:地方でのクリニック開業を後押しする国の支援策)
よくある質問
Q. 開業コンサルに頼むと、開業後もサポートしてもらえますか?
A. 契約の内容によります。開業日までの支援で終わる契約もあれば、顧問契約として開業後も続く場合もあります。開業後に何を相談したいかを決めてから、契約の範囲を確認しましょう。
Q. クリニックと調剤薬局は、一緒に計画したほうがよいですか?
A. 院外処方にする場合は、土地探しの段階から薬局の場所をあわせて考えることをおすすめします。患者さんの動線や駐車場の使い方を、一緒に検討できます。
Q. 将来、医院の承継や建て替えも相談できますか?
A. 益三建設では、後継者不在やM&Aに伴う医院の買取や取次、診療を続けながらの建て替えにも対応しています。
Q. 茨城県では、新しいクリニックはどこで多く開業していますか?
A. 過去3年(2023年10月〜2026年9月)の新規開業71件を益三建設で市町村別に分けると、つくば市が16件、水戸市が10件、守谷市が7件でした。つくばエクスプレス沿線の3市で25件と、県南に集まっています。
Q. 茨城・いわきで開業支援を受けるとき、地元の会社を選ぶメリットは?
A. 開業後の点検や修繕、急な設備の不具合に、すぐ駆けつけてもらいやすいことです。益三建設は不動産業も営んでいるため、土地情報をいち早くご提案できます。
まとめ
- 開業コンサルと建設会社の開業支援は軸が異なり、どちらも開業後まで関わるとは限りません。
- 開業後は採用や機器のメンテナンス、届出などが負担になりやすい仕事です(日本医師会、2009年)。
- 茨城県の新規開業71件のうち54件は住所にビル名や階数がなく、自分の建物で開業する先生が多いと考えられます(益三建設が厚生局の一覧から集計)。
- 薬局の配置、建物の維持管理、将来の承継まで相談できる相手を選ぶことで、長く続く医院づくりにつながります。
益三建設は、茨城県・福島県いわき市でクリニックを開きたいと考えている先生からのご相談をお待ちしています。
- 「開業した後のことまで、相談できる会社を探している」
- 「薬局の配置も含めて、土地を探したい」
- 「将来の承継や建て替えも見すえて計画したい」
計画が固まる前の段階から、遠慮なくお声がけください。
この記事について
執筆:ドクター建築ラボ@IBARAKI(益三建設)。昭和22年(1947年)日立市で創業。
監修:益三建設株式会社 代表取締役社長 益子朋
主な参考資料:日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」(2009年)、厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」(令和6年)、関東信越厚生局・東北厚生局「コード内容別医療機関一覧表(医科)」令和8年10月1日現在(新規開業の件数は益三建設が集計)、益三建設「開業までの流れ」
お問い合わせ・会社情報
益三建設株式会社
茨城県・福島県いわき市の医療建築のスペシャリスト。先生の夢に寄り添い、経営を支える建物をご提案します。
本社所在地:〒317-0051 茨城県日立市滑川本町4丁目25番16号 益三ビル
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事業内容:施設建築、土木工事、住宅新築・リフォーム、不動産、医療・介護・福祉施設建築
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